猫の島 藍島(あいのしま)
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- 〈 小倉北区 〉
小倉から船に揺られてわずか35分。
あたたかい人々と猫が暮らす藍島。
北九州市小倉北区に位置する藍島(あいのしま)は、関門海峡の北西に浮かぶ小さな島。自然豊かな環境の中で古くは農業も行われていたそうですが、現在は漁業が中心となり、ゆったりとした時間が流れています。この島での住民数は約250名。そして、住民と同じくらいの数の猫が暮らしている事も有名。平日・週末問わず、その可愛い猫見たさに多くの人が島を訪れます。
行き方は、小倉港から藍島行きの中型船に乗ってたったの35分。スターフライヤーで北九州に降り立ったら、島へのショートトリップを楽しんでみませんか?ここでは、藍島の魅力や見どころ、猫たちとのふれあう際のポイント等をお伝えします。
まずはJR小倉駅からほど近い小倉港の「市営渡船(馬島・藍島行)のりば」へ。JR小倉駅から徒歩で向かう場合は約8分の距離感です。このあたりは他地域への乗船場がいくつかあるので、少し時間に余裕を持って向かうのがおすすめです。
藍島へは「馬島」を経由する市営渡船で。チケットの販売窓口に表示されてある時刻表で、藍島からの戻り時間も確認しておきましょう。チケットは出発30分前から販売されます。
島への船代は大人1名で片道600円(往復1,200円)。2名以上で行く際は少しお得になるペアチケットがあります。乗船チケットには、猫のイラストが描かれている藍島らしいデザイン。往復それぞれの乗船券を切り離し、最後にイラスト部分が残る仕様です。(※料金は2019年5月の情報です)
約100名が乗船できる中型船「こくら丸」。船内は、地元の方、お仕事の方、観光客など目的も年代もバラバラ。観光として猫を見る方はカメラを片手に、響灘での海釣を楽しむ方は海釣道具を肩に提げて、いざ乗船です。
出発後、船からの眺め。対岸の工業地帯に沿うようにして船は進行します。この景色を船から見られるのも小倉港発の船旅ならでは。
藍島に行く途中で寄港する「馬島(うまじま)」までは、約10分の船旅です。馬島は藍島よりさらに小さく、人口も30名ほど。馬島・藍島の近くの海には鯨(くじら)の仲間である「スナメリ」が生息しているそうです。
小倉港から約35分で、藍島の市営渡船乗船所に到着。船が着くと乗組員が手際よくタラップを降ろし、案内してくれました。
港に到着すると、さっそく島猫たちがお出迎え!わざわざこちらに誘導しなくても「ミャ〜」という声で人懐っこく近づいて来てくれるから驚きです。上品な白・黒、個性的なキジトラ、サバトラなどなど柄の種類・出かたもいろいろ。こちらが歩きはじめると、猫たちも一緒にそぞろ歩きしてくれました。
島に着いてすぐ目にふれるイラスト看板。こちらにルートが描いてあるのでぜひチェックを。 (看板の左下に、餌をあげないでくださいと書かれているとおり、民家や道路の真ん中、作業場、商店の前などでの餌やりは禁止となっています。もし猫たちにおやつをあげたい場合は、「ここであげてください」と書かれている場所で、マナーを守ってあげましょう!詳しくはこの記事の下部をご覧ください)
市営渡船が発着する木村港から、島の最北端の「千畳敷(せんじょうじき)」までは徒歩で片道約40分ですが、途中足場が険しいところもあり時間と体力に余裕が必要。また、船付場からすぐ近くに、のどかなビーチもあります。
猫がたくさん住む島と謳われる通り、道路の脇からピョンと一匹、民家の軒下からも一匹、軽トラックの荷台の上からも…というふうに、猫たちが自然に集まってきてくれます。気がつけば、猫たちと一緒に島散策。
藍島に猫が多く住むようになったのは、もともとは漁師さんが所有する漁船のネズミ対策として猫を飼ったのが始まりだそうです。港に停泊している船の数は多く、いかに漁業が島の方の暮らしと結びついているかが分かります。猫たちも時折、地元に住む方から響灘で獲れた新鮮な小魚をいただけるようです。
片耳の先端が「桜の花びら状」にカットされているのは、去勢手術を既に行った目印。藍島には猫が多く住んでいますが、人と動物の暮らしが心地よい関係で両立するよう、絶妙な数で穏やかに管理されています。去勢手術などのケアは、各機関をはじめ地元の方やボランティアの方の協力も得て成り立っています。
可愛い猫たちと接する際のポイントやマナー、藍島を訪れる前に確認しておきたい点を以下にまとめてみました。ぜひ、旅の参考にされてください。
□愛らしい猫達とふれあう際のポイント
・食べ物は地面に直接置かず、紙皿など入れ物を使ってあげましょう
・入れ物がない場合は、猫が食べる分だけをあげて、残りは片付けましょう
・猫用のおもちゃで遊んであげると、とっても喜びます(持参しましょう)
・民家等に無断で入っていないか確認しながら撮影しましょう
・ゴミは必ず持ち帰りましょう
□藍島について
・島内に24時間営業のコンビニはありません。そのつもりで準備しましょう
・タクシーやバスは走っていません。民宿は3軒が営業されています
・公衆トイレは渡船待合所の裏にあります(1箇所のみ)
・夏場は蚊が多いので、虫よけスプレーなどを持参するのがおすすめです
・悪天候の場合は戻りの船が欠航になることも。台風時期は特にご注意を
渡船場から歩いて5分程度のところにある「正一位稲荷大明神」。小さな島の中で存在感を放っていました。
ちなみに「藍島(あいのしま)」という名前の由来は、古来、東西北部からの船がちょうどここで出会う場所であったことから「相会する」という意を取り入れたという説や、織布等に使われる植物「藍」がこの地で盛んに栽培されたことに由来する説など、幾つかあります。
その歴史は古く、日本書紀の仲哀天皇の巻の一節に見られる「阿閉嶋(あへしま)」が藍島であると推測されているほか、約400年前の小倉藩主細川忠興の時代にも「藍之嶋(あいのしま)」という名称が使用されています。
木村港から徒歩約15分のところにある島唯一の小さなトンネル。昭和30年代に開通したもので、ノスタルジックな雰囲気を醸していました。トンネルの手前には、史跡へ向かう道と島の売店があります。
福岡県指定史跡になっている「藍島遠見番所旗柱台」。江戸時代に建てられたもので、小倉藩の中国密貿易船監視施設として建てられたもの。密貿易船を発見すると、いち早く小倉の藩所に知らせるために大旗をこの柱を使い上空に掲げて知らせたのだとか。歴史を刻んだ旗柱台は、ひっそり佇むように健在していました。
爽やかな校舎の色が目を引く「藍島小学校」。
島にある唯一の学校で、児童数は毎年平均して10名前後。全校生徒数は都市部に比べて少ないものの、各クラスの教室設備はそれぞれが自分のペースで学習しやすい環境で、音楽室・パソコン室・図書スペースなども完備。都市部と全く変わらない充実ぶりで、各クラスを受け持つ担任の先生方に加え、嘱託の先生も在籍されています。
「夏の課外授業では、小倉にある山の学校の生徒さん達と交流を図るんですよ」とは、校長の宮崎先生。「小規模でも、"少ないから寂しい"でなく、"楽しい学校"でありたい」というポリシーをもとに、授業の中でも様々な工夫が取り入れられています。また、朝の掃除時間には、校長先生を含めた教師も生徒と一緒になって一斉で行うのだとか。
その愛情あふれる学校の考えが子供達にしっかり伝わっていることを裏付けるように、学校帰りの子たちが自ら進んで明るい挨拶をしてくれました。
猫の島 藍島(あいのしま)
□ ADDRESS
福岡県北九州市小倉北区藍島(あいのしま)
□ TEL
093-671-8181
□ OPENING
小倉港発10:30(月〜土)、小倉港発9:30(日・祝)
□ CLOSED
藍島発15:30(月〜土)、藍島発発16:30(日・祝)
□ ACCESS
北九州→JR小倉駅→小倉渡船(徒歩約8分)→藍島 木村港(船で約35分)
猫の島 藍島(あいのしま)