小倉/北九州 観光情報 STAR TRIP：辻利茶舗 京町本店

北九州市で創業し、90年以上にわたって親しまれている日本茶の老舗・辻利茶舗。JR小倉駅からほど近い京町銀天街のアーケードにある京町本店には、時間帯を問わず多くの方が立ち寄ります。

地元の常連さんは自宅用のお茶を買い求め、外国からの旅行者はお土産選び。旅の休憩に濃厚な抹茶スイーツを堪能するなど、楽しみ方はさまざまです。

小倉駅から賑やかなアーケード街を歩いて４分ほど。辻利茶舗 京町本店は、1947年からこの地で街の移り変わりを見守ってきました。

お店の入口に掲げられた立派な看板は、今から100年近く前、京都・宇治にある辻利の小倉支店として創業した当時に使われていたもの。年季が入っていて風格が漂います。

入口付近は、日本茶や抹茶を販売するスペースです。

日本でも数少ない日本茶鑑定士が吟味した福岡・八女の玉露をはじめ、佐賀の嬉野、鹿児島の知覧など、九州をはじめとする日本各地から厳選した抹茶や煎茶がずらり。幅広い世代から人気のほうじ茶、すっきり軽い味わいの玄米茶なども、お店の太鼓判が並びます。

個性派のお茶も充実。
ぶどうや桃、柚子などを煎茶にブレンドした辻利フレーバーティーシリーズは、ポップパッケージが目を引きます。親しい人へのギフトにもぴったりです。

店頭ではお茶の試飲も。淹れ方のコツも丁寧に教えてくれます。

奥にある喫茶スペースでは、抹茶のドリンクやスイーツなどを提供しています。

商店街の雰囲気を心地よく感じながら、ホッとひと息。
店内は観光客だけでなく、地元の主婦から学生さんまで色々な方が骨休めに訪れていました。堅苦しくない雰囲気なので、気軽に楽しめます。

「抹茶とチーズタルトセット（620円）」。

辻利茶舗のお抹茶は、日本茶鑑定士が選りすぐった八女市星野村の新鮮な抹茶を使っています。丁寧に点てられるため、香りがふわっと立つのが特徴。抹茶の旨味と渋味が効いた本格的な一服です。（※チーズタルト単品350円）

チーズタルトは、吟味された上質の抹茶を使ったお店のオリジナル。
店舗の２階に設けられた調理場で、毎日心を込めてじっくりと焼き上げられます。風味豊かでありながらも、後味はすっきり。上品な小ぶりサイズに見えますが、重量感があり食べごたえ満点です！

年間を通して大人気の「抹茶サンデー（500円）」は、濃厚でコクのある贅沢な味わい。コーンフレークのさくさく感と小豆餡も絶妙なハーモニーで、満足度が高い和スイーツです。

小倉観光で来た外国人旅行者からも評判でこれをお目当てに足を運ぶ方も多いとか。（※テイクアウトの場合は480円）

「PREMIUM 八女抹茶プリンセット（620円）」も、上質な八女茶の旨味を感じられる美味な組み合わせです。プリンは単品でも購入が可能。ご挨拶やお礼、家族へのとっておき手土産にしてもきっと喜ばれます。（※プリン単品390円）

ほかにも、春にはいちごを挟んだ大福や夏のわらび餅など、四季折々の抹茶スイーツが提供され、季節が変わるたびに何度でも訪れたくなります。

今では北九州市民や観光客にすっかり親しまれている辻利茶舗。その歴史の源は京都にあると、代表の辻 史郎さんが教えてくれました。

1860年、京都の宇治で辻利右衛門が創業した辻商店。

利右衛門は、今では専門業者が一般的に使うようになった茶の輸送道具・茶櫃（ちゃびつ）を幕末に考案した名人です。湿度の高い日本でお茶を保存するために内側にブリキを貼った茶箱を考えつき、お茶の普及に多大な貢献をしました。

その後、辻一族の辻譲二・初枝夫婦が小倉に赴き、九州支店を常盤橋のたもとに作ったのは1925年のこと。夫婦はこの地を気に入り、魚町や京町にお店を構えて、別会社を設立しました。

時代の移り変わりの中、たくさんのお客様に支持され成長してきた辻利茶舗では、93年に日本茶に特化したカフェを併設。たちまち評判となりました。
今では北九州市内に４店舗、台湾やシンガポールなどのアジアをはじめ、カナダ、イギリス、オーストラリアなど世界12か国・地域に進出しています。

「辻利茶舗は私の実家。実はもともと別の業種に携わっていたのですが、十数年前にたまたま京都で辻利右衛門の銅像を目にする機会があり、先祖の偉大な功績に感銘を受けました。先祖は日本の素晴らしい茶文化を自分なりに開拓し、それを残してくれた。この歴史を私も次世代へ繋ぎ、もっと世界中に広めていきたいと思ったのです」

京都で宇治茶の礎を築いた辻利右衛門の志を受け継ぎ、90年を超える歴史を紡いでいます。

極上の抹茶を使ったドリンクやスイーツ。世界の人を笑顔にしているその味を、小倉の街でぜひ堪能してみてください。